今までのテーマトーク

10月のテーマは「なんで BURAKU HERITAGE やるの?」です!

(今月はメンバーによる座談会形式でのテーマトークです)

メンバーの、メーリングリストでのやりとりの中から生まれた「スカイプ座談会」。

初回の今回は、BURAKU HERITAGE(以下、BH)立ち上げからずっと中心的に関わってきたたみ、たみに誘われて参加したみよ、Cの東京メンバー3人(3人は高校生の時に一緒に活動してた仲間。たみとみよは姉妹。)と、大阪のみどりんがスカイプでつながり、わいわいおしゃべりしました。

1回目ということで、「てかスカイプってなに?!」「どうやって使うの?」から始まり、接続に手こずりましたが(笑)

BHが生まれた経緯や、メンバーそれぞれのBHに関わっているうえでの気持ちが垣間見えると思います。

ぜひお読みください。

みどりん:BHってなんでできたんやっけ?

たみ:えっと、私が北芝(メンバーのみどりとさたやんが働いている大阪府内の部落。まちづくりの取り組みがユニーク。)に行ったときに、ともえちゃんとかと、こういうサイト出来たらいいねって、コンテナバーで飲みながら盛り上がったのがきっかけといえばきっかけ。もう2年前だね。

 

C:ともえちゃんとはもともと知り合いだったの?

たみ:「明日を拓く」って雑誌でだいぶ前に私が取材を受けて、それをみたともえちゃんが手紙をくれたの。

みどりん:へ?!そうやったんや

たみ:でも、私がそれを返事しないまま放置していて(笑)

何年か経って雑誌の「部落解放」の取材で内田さん(りゅうし)が東京に来てくれたときに、「僕の後輩が以前たみさんに手紙を書いたらしくて、あれどうなってるのか聞いてきてっていわれたんだけど…」って言われて、慌てて返事をしたのが、出会い。

 

みどりん:あはは。

私はmixiで、たみちゃんがやってた「子育て中のマイノリティ」っていうコミュニティに関心を持って、管理人だったたみちゃんにメッセージを送ってつながったんよね。

 

たみ:そうそう!でも、私はその前にともえちゃんとみどりちゃんがでてるドキュメンタリービデオ※1を見ていたんでみどりちゃんのことを知っていたの。

 

みどりん:mixiではじめまして、ってメールしたら「あなたのこと知ってます」って言われてびっくりした(笑)

たみ:ともえちゃんと会ったのは、ともえちゃんが東京に遊びに来たときが初めて。BHやるきっかけになった北芝での会が2回目かな。

 

C:さたやんともその時にあったの?

たみ:そう、さたやんもそのときが初めまして。

でね、「部落」って検索したら、上の方に出てきて、小難しくなくて、素朴に部落問題ってなんなんだろうって思ってるような人にわかりやすく伝わるようなサイトを作りたいなって話になって。

 

みどりん:ろくなものがヒットしないから?

たみ:そう(笑) 2ちゃんとか、知恵袋とかね。あと、マニアックなのが多いというか…。

みどりん:差別的なのもあるし、ちゃんと発信しててもむずかしかったり、初心者向きじゃないのは多いね。

みよ:確かに!分かりづらい。

たみ:部落って何?って友達に聞かれたときに、こういう本があるよとか、こういうサイトがあるよとかっていうのがあまりなくて、じゃあつくろうぜ~的な。

 

みどりん:気軽に、入り口になるような。ってことかー。

たみ:でも、部落の人とか関係者がみても、面白いみたいな。

考えてもらえる、みたいな。わかりやすいからって内容が浅いって言うわけじゃなくて。

それで、やろうって盛り上がって、住んでるところが離れててもネットがあるから大丈夫だよ!って北芝ではみんなで言ってたのに、全然連絡が滞ってその集まりから、サイトを開設するまでに1年かかったのさ!!!!

 

みどりん:そんなにかかったっけ(笑)

たみ:北芝に行ったの2年前の7月で。で、サイト開設したのがその翌年の7月。

みどりん:でもよくポシャらなかったよね。

たみ:絶対やってやると思ってたもん!

真面目な話、やっと見つけた仲間だと思ったのよ。住んでいるところも離れてるし、環境もだいぶ違うし、考えてることや面白がってることも違うなとは思うんだけど、何か根っこのところで共通してる想いがあるな、この人たちとはって。そういう人ってなかなか出会えないし、絶対このメンバーで、楽しいことをやりたいって思ったの。

 

みどりん:私がこれに共感したのは、基本的に、部落問題の発信が、「ださい!!!」っていうのがずっとあって。ポスターとかチラシ、啓発ビデオとか。デモも。

 

たみ:ビラとかね。

みよ:HPもダサい…

たみ:それじゃ、全く今まで接点なかった人には伝わらないよ~!って思うことは私もよくあった。

みどりん:「伝える」ことはしてるんだけど、どうやったら「伝わる」かっていうのが・・・

みよ:HP開いた時にとっつきにくさを感じる。

みどりん:BHの前に「これはいい」と思った取り組みがあって。「対岸の肖像」※3っていう部落にアイデンティティを人たちのポートレートを集めた写真展なんやけど。私とともえちゃんは被写体として撮ってもらってて。

 

たみ:そうだ!対岸の肖像の、日々更新されていくバージョンができないかっていう話も、あった。北芝での飲み会の時。

ともえちゃんも多分言ってて、私もモヤモヤとしてあったんだけど、1回取材を受けると、それはもう過去の自分になっちゃうじゃない?

その、取材を受けたものはそのまま変わらないんだけど、自分は日々変わっていく。考えが変わることもあるわけで。ウェブサイトを立ち上げて日々更新できるようにすれば、今の思っていることを発信できるし、そんな自分が過去はどう思っていたのかも時系列に見てもらえる。そういうの、やりたいなぁって。そういえば、最初はいろんな部落に関わる人のブログを並べるみたいな構想だった!

あと角岡さん※2の文章を読んだ時に・・・ニュートラルと言うのかな、どう伝えたら伝わるのかっていうことをすごく意識しているなと、この人のこういう書き方だったら、部落問題を扱っていても伝わるんだなという衝撃みたいなのもあったな。

 

みどりん:Cちゃんとみよちゃんは、たみちゃんになんて言って誘われたの?

:なんだっけ?

たみ:比較的最近だよ、C!(笑)思い出して!

C:こういうのあるからどう?って言われて・・・

たみ:なんで、どうっていわれて、うんってなったの?

C:たみちゃんの言うことだし、HP見たときに、なんかいいなって思って。ださくならないな、とか。

等身大の自分でいい、というか。それが大きい。部落問題に関してなんかしなきゃと思ってたけど、今までの運動の中でやるのも何かなぁって思ってて・・・

 

みよ:BHの公開をするちょっと前に「こんなことやろうと思ってるんだけど一緒にやらない?」的な感じだったかな?で、トップページの写真撮ってって言われて写真撮りに行ったり何だりしてたら、「Cとかも誘ったらやってくれるかな?」って言ってたのは覚えてる。

 

C:一番大きいのはたみちゃんに言われたからかな。

たみ:何?逆らえなかったの?(笑)

C:高校生のときのたみちゃんを見てたから、ついていっても大丈夫だろうなと思った。

みどりん:みよちゃんはトップページの写真を撮るところからはじまってるの?一緒にやらない?って言われたときはどんな感覚?

 

みよ:もともと、写真で部落問題というかマイノリティについて撮りたいと思ってたけど知識も乏しいし考え方もまとまらない自分がやっていいのかなと思った。でも、そういう人もいていい…みたいな事言われて、じゃあやってみようかな?って感じかな?

 

C:私もみよとおんなじ感じだな。

たみ:でも、そういう人いて全然よくない?

みどりん:いやー、だっていないほうがほんとは不自然だよね。

たみ:みんながみんなもっともらしいこと言ってて知識もあってっていうのは全然リアルじゃないし。

C:なんかこれまでの運動のイメージだと、みんなが同じじゃないとだめ、みたいな印象があります。外には理解を求めるんだけど、自分たちは他を除外するというか・・・。

みよ:これまでの運動とは違うところでやりたいっていうのがあった。干渉されたくないというか。

たみ:そうなんだよね~、独立してやりたいんだよね~。

みどりん:部落問題のことをやりたいとか、やらなきゃとか、みんなそう思ってるからBHやってるよね?

それって、別に部落の若者がみんなそうかというと違うと思うしなんで私たちはそう思うんやろうね。

 

たみ:私は、私の周りは、部落問題って何?とか、ほっとけばいつかなくなるでしょ!とか言われることが多いから、それがすごく悔しいって思ってて、ずっと。無視されてるというか、ないことにされてるみたいなのがイヤだというのはずっと思ってきてたから。

この間立教に講演に行ったときに、ほっといたら部落差別はなくなるっていうのはいかに他人事と思ってたのかって、そんな自分に気づきましたって感想を書いてくれた学生さんがいたのね。

あなたなんていない。って言われたら、いるけど~!ここにいるけど~!って言いたくなる。

 

C: 浦本のところに差別はがき※4来てた時期あるじゃん?あれ、うちにも来てて。私には周りに相談できる人がいっぱいいるけど、周りに隠してる人のところに来たらどうするんだと。これはなんとかしないといけないと思ってた。でもどうしていいのか・・・と。

 

みよ:部落問題に限らなくなってきたけど、写真でマイノリティーについて撮りたいと思ってるのは人が人に対する偏見とか差別意識はどこからくるのかってのが引っかってて。どこからそういう感情が生まれるのかってのが気になってそれを写真で撮れたらと思ってる。

 

みどりん:そういうのが気になるのって、部落出身なこととか、運動との関わりの中で育ったことの影響が大きいのかな?

 

みよ:なのかな?小さい頃デモしてた時の周りで見てる人の冷ややかな目とか覚えてて…

C:写真をはじめたのは部落問題とかを撮りたいと思ったから?それとも写真撮りたい、が先?

みよ:始めはスポーツ、風景とかを撮ろうと思ってて、高校生の時部落の子たちの集まる活動に行きだして部落問題を撮ろうと思った。

 

みどりん:じゃあ写真やりだしてけっこう長いね

今は部落問題だけじゃなくて、「マイノリティ」に撮りたいテーマが広がった感じ?

 

みよ:そうだね。高校の時から思ってたけど、部落差別だけがなくなればいいなんて思ってないし、セクマイの人とか部落の人とか外見からはマイノリティ性は分からないのに、そういう人達に対して差別意識を持つ人の感情に興味がある。人が人を差別する感情は人のどこの部分を見て生まれるのかって事に。

 

みどりん:なるほどー。部落差別だけがなくなればいいなんて思ってない、はむっちゃ同感。人権とか差別問題を語るときに"部落差別をはじめ・・・"とか言われると違和感。部落問題に取り組む団体が言うんだったらまぁわかるけど。。

 

たみ:根っこは一緒だもんね。

みどりん:けっこうしゃべってるね。遅くなってきたしぼちぼち1回目は終わりますか?

たみ:子どもが生まれて、すごく部落問題について考えるようになったのが、そもそもの始まりだっていう話をし損ねた(笑)

 

みどりん:じゃあ、次は、テーマを「自分や周囲にいる子どもにどう部落のことを伝えたらいいんだろう?」とかにする?「未来を生きていく人」にどう伝えるか、とか。

 

たみ:じゃあそうしよう。

 

※1 ぶらく新世代シリーズ「グローカルに生きる」http://www.flugeizo.com/lineup/douwa/sinsedai.html

※2 角岡伸彦さん 部落出身のフリーライター。

※3 写真展「対岸の肖像」 http://archive.masarugoto.com/burakumin_jp/folios_burakumin_thumb_jp.htm

※4 連続大量差別はがき事件

2003年~2004年にかけて、解放同盟やその役員宅などに差別文書が数百回にわたり送られた事件。